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HOUSE IN OKAMOTO
岡本の家
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敷地は東京の緑豊かな多摩川風致地区内にあり、条例により建築物は隣地境界から離隔1.5m以上、前面道路からのセットバック2.0m以上が義務づけられている。土地の細分化により過密化が進むこの地において、本来環境保全のためにつくられたこの条例は、もはや形骸化している。間口に対して奥行きの長いこのような敷地の場合、条例遵守の結果、建物周囲に出来る余白は、隣家の外壁が接近する奥行きの浅い隙間になり、室内と連携する良好な庭にはなりづらいのだ。
建物を平面方向にずらし、そのズレを開口部にすることで、室内は開口部越しに隣家の外壁と関係する事なく、敷地内の奥行き方向に広がる緑豊かな庭と関係することが出来る。さらに建物を断面方向に半階ずつずらし連続させれば、階段とズレ=開口は同じ方向を向いているので、昇降運動とリンクする視線は、半階上がったリビングからは学校の樹木を、主寝室書斎からは美術館の庭園を、バルコニーからは神社の桜をと、隣家の外壁を見ることなく、遠くの風景をジグザグに捉えてゆく。近接する隣家外壁を遮蔽する壁は、遠隔の美しい風景を捉えるための開口から降り注ぐ美しい光の濃淡を映し出すキャンバスになっている。
岡本の家- 所在地:東京都世田谷区
- 建物用途:住宅
- 構造規模:木造・一部RC造(三階)
- 建築面積:55.41㎡
- 延床面積:128.62㎡
- 竣工:2016/04