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HOUSE IN KITIJYOJI
吉祥寺の家
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かざぐるまプラン
この住宅は吉祥寺駅至近、飲食店が並ぶ通りに面する。敷地の3辺の建物同士の隙間は、露出配管・ダクトスペースとして共有されており、残る南東側前面道路ですら人通りが絶えない為、ここに開口を集中させ、建物に特定の方向性を持ち込むことは不自然に思われた。そこで内外の環境を同時につくるべく、3つのスペースと3つのコートをかざぐるま状に交互に一周させることにより、各スペースが各コートをシェアすることになり、対角線上に必ず2つの開口を持ち、立体的に採光と通風を確保することができるようにした。各コートは周辺環境との関係においては、良好な外部をつくるための境界領域に他ならず、各々異なる性格付けがされている。コート1は縦格子の門扉とセットで、バッファーであると同時に通りを引き込む路地でもある。コート2は隣地に配管・ダクトのない西側を開き、1階店舗を外部へ拡張させる。コート3は完全に閉じて、2階ダイニングの延長になる。かざぐるまの中心にはキッチンカウンターが据えられている。3世代6人家族をつなぐ中心でもある。町並みに定点をつくる
紛れもなく建築は町並みの構成要素であり、時間をかけて風景の一部となるのが望ましい。
しかしながら、通りに並ぶ店舗のファサードはどれも消費の対象であり、だからこそ変わらないこと、変えられないことに価値があるように思えた。コンクリートブロック積層構造を選択したのは、その構造的制約と素材の素朴さゆえである。RC造の2.5倍の壁量を必要とし、その壁はできる限り上下階で揃えなければならない。店舗の馬蹄形の開口は構造的限界である。「かざぐるまプラン」の効果でブロック壁の粗い表面は、場所により異なる微細な自然現象を映し出す。それを邪魔しないように周辺環境のみならず、設備機器や建具・家具の取手に至るまで出来るだけノイズを消去した。研ぎ澄ますことによって見えてくるものがある。変化の激しい通りの中で定点でありたいと思った。何もないファサードがやがて語りだすように。吉祥寺の家- 所在地:東京都武蔵野市
- 建物用途:集合住宅
- 構造規模:RM造
- 建築面積:59.89㎡
- 延床面積:159.46㎡
- 竣工:2009/04